11月11日、当院中原院長を座長に「大分県北部てんかん研究会」が開催されました。講師に 広島大学病院 てんかんセンター センター長 飯田幸治先生にお越しいただき、てんかん治療について貴重な講義をして頂きました。
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「社会の中でのてんかん疾患」
現在、何らかの原因によって、脳の神経細胞が異常に興奮し、けいれんや意識消失などの発作を繰り返す「てんかん」患者さんは、約100万人いらっしゃるといわれています。これは、国民の約100人に1人の割合での発症を指し、身近な病気の一つといえます。
しかし、実情は「てんかん」がどんな病気で、どんな治療法があるのか、社会の中で正しく理解されているとはいえません。
ある患者さんの症例では、長年てんかん発作に苦しみ、「抗てんかん薬」を何錠も飲み続けていましたが、飯田先生に手術を受けた後、てんかん発作が止まりました。
その中で一番私の心に残ったのが、手術後の患者さんの言葉でした。
「手術という治療法があることを知らず、効かない薬を飲み続け、てんかんの発作に耐えてきた、この何十年間が悔しい」てんかんがあるから仕事ができない。てんかんがあるから好きなことができない・・・。
てんかんを患っている患者さんの悩み・苦しみは深く、辛いものです。周囲の人々に病気への理解や正しい知識がなければ、患者さんが疾患を打ち明けることも困難になります。

「てんかん疾患への正しい理解を」
飯田先生は、広島県内でてんかん患者さんのサポートを行うため、「てんかん疾患啓発活動」に尽力されています。
地域医療機関・行政と協力して啓発活動をリーディングし、さらにJリーグ所属のサンフレッチェ広島と、広島大学のコラボレーションでイベントも開催しています。世界的なてんかん疾患啓発活動である「パープルデイ」※のイベントでは、てんかん疾患の理解を広めようと、医療関係者らが多数ボランティア協力しています。
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「なぜ、サンフレッチェ広島なのか?」
それはラベンダーのパープル(紫)がてんかんの国際的イメージカラーであったことから、チームカラーがパープル(紫)のサンフレッチェ広島に、飯田先生が協力を要請、チームは快く応援・協力してくれることになったそうです。
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今回、てんかんについてのお話を聞き、私自身も、知らないことや間違った知識を持っていた事に気付かされました。
実際、てんかん発作を起こしている患者さんの記録(治療を行うためにビデオ記録を行っている)を見せて頂き、「自分では発作を止められない」患者さんの苦痛、またそばにいる親御さんの気持ちを考えるといたたまれなく思いました。
今回の講義に参加し、看護師として、また同じ社会にいる者として、てんかんについて知識を深め、社会にあるてんかんに対する偏見をなくすために、啓発していかなければならないと痛感しました。
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飯田先生、貴重なお話を本当に有り難うございました。
                             手術室・内視鏡センター 主任  大隈

※パープルデーとは、毎年3月26日にてんかんへの関心・意識を高めるため、一般の人たちにもてんかんに関する正しい知識を広めることを目的として、紫色の物を身に付ける国際的な活動です。