当院では、「看る力・心・連携が豊かな看護」を目標に、入職2年目の看護師が、その人らしく生きることを支援した過程をケーススタディとして報告しています。

今回は、他院で根治治療困難と診断され、本人・家族ともに自宅で最期を望んでいるものの、気管切開後の吸引処置等に不安があり、当院へ転院された方の退院支援を発表しました。

当院へ転院時、ご本人の体は病気の疼痛、頻回の痰吸引による苦痛、胃瘻造設で経口摂取困難、気管切開により発声ができず、コミュニケーションの困難を抱え、さらにご自身の終末期を目の前にした過酷な状況でした。

当初は家に帰ることに意欲的でしたが、徐々に気力が減退し、抑うつ的な状態になり、退院を「拒否」されるようになりました。

 

今回の支援では、筆談、ジェスチャー、表情から本人の気持ちを汲み取るなど、コミュニケーションの難しさに戸惑うことが多くありました。しかし、本人の心理状態から専門医へコンサルを依頼し、看護師もできる限り本人のベッドサイドで様々な苦痛を傾聴し、家族の意思を傾聴するなどの信頼関係を築いていくなかで、沢山のことを学びました。ご本人の心理状態に寄り添いながら、医療ソーシャルワーカーや看護師、リハビリなど、他職種との関わりを通して、本人・家族の在宅療養への不安が軽減し、ご本人から「自宅へ帰りたい」の言葉が発せられました。

 

 

患者さんの心理状態は、時間の経過とともに変化します。その変化をとらえ、否定せず、段階に応じた関わりを行うことが看護において重要であると考えました。今回学んだことを忘れずに、今後の退院支援に活かしていけるよう振り返り、より良い退院支援に繋げていきたいと思います。

2病棟 看護師 田中