8月の県北てんかん研究会は、座長を当院院長中原が務め、講師には国際医療福祉大学教授、福岡山王病院 脳・神経機能センター 赤松直樹先生をお迎えし、「高齢者てんかんの最新治療」をテーマにご講演頂きました。
現在、国内のてんかん患者数は100万人といわれ、そのうち実に30~40%が高齢者であり、原因疾患が明らかなものに加え、アルツハイマー型認知症などの脳の器質的変化に付随するものを除くと、MRIなどで精査しても異常のみられない原因不明のてんかんが3分の1を占めているそうです。
高齢者てんかんの特徴は、発作の大部分が部分発作として発症する点にあり、全体の46%にのぼります。診断のつけやすい全身けいれんを伴う二次性全般化発作に対し、複雑部分発作は意識消失・意識減損・自動症などが主な症状であり、診断が難しいこと。しかし側頭葉から起きやすい為、その症状を周囲の人に聞き取る問診が有効であること。
また、高齢者てんかんとの近似症状がみられるアルツハイマー型認知症の鑑別にはMRI等の画像診断と脳波が有効であること等、とても分かりやすい展開で、終始穏やかに丁寧にご説明頂き、自然とお話に引き込まれていきました。
最新の治療と経験に基づいた的確な判断で、てんかんに苦しむ多くの患者さんが完治されている状況にも驚きました。内服治療一つをとっても、常に患者さんの視点に立って診療されている姿勢に感動しました。
高齢者てんかんのみでなく、てんかんの起きている部位によって症状の出方が違うことや、原因となる組織を取り除く外科的治療、また心因性てんかん発作など、ほぼ初耳となる症例についても動画等を用いてわかりやすくご説明いただき、実際の業務にも直結する本当によい学びの時間を頂きました。
当院でも医師、コ・メディカルで情報を共有し、てんかんの診断・再発予防の質向上につなげていきたいと思います。赤松先生、貴重なお話を本当にありがとうございました。
地域医療連携室 尾川