昨年4月に赴任した脳神経外科・武石英晃医師が、今月末で1年間の任期を終え、慈恵会医科大学病院へ戻られます。
当院での日々を振り返り、宇佐市の印象や思い出、自身の成長について質問してみました。

〇宇佐市の印象/赴任当初と今・・・
私は茨城の水戸出身ですが、平野や町並みの雰囲気は宇佐市と似ていて懐かしかったです。
でも暮らしてみると少し行けば山あり海あり温泉ありで、真っ平らな水戸とは全然違いました。姫島にも行ったし、車エビも美味しくて、大分は、すごくバラエティに富んだ地域性で暮らしやすいと感じましたね。

〇地域の先生方との連携
佐藤第一病院に赴任するまでは、神奈川県で勤務していましたが、実は人口に対しての医師数は大分の方が多いんです。
前の病院では、医師の人員も少なく、合併症を持つ患者さんも少なかったので、他科の先生に診察依頼することはあまり無かった。でもこちらに来ると、ご高齢の患者さんが多いこともあり、心臓疾患を抱えていたり、骨折しやすかったりと必然的に相談する機会が増えました。
特に感じたのは、病院によって個別に特色があるので、透析ならここ、整形ならここ、と病院対病院で連携することが多いことですね。こちらに来て、他科の先生とのやりとりを深く学ぶことができました。

〇当院での就労環境
患者さんもスタッフもおおらかで、細かいことはあまり気にしない、ゆったりとした人柄の方が多く、距離を感じませんでした。
赴任当初からスタッフの皆さんが優しくしてくれて、すごく相談しやすかったです。皆さんの温かい愛情の中で育ててもらいました。
私が大分県のキャラクター‘めじろん‘が好きだと知ると、本物の着ぐるみを用意してくれて、忘年会のステージでデビューさせてもらったことは思い出深いです(笑)。

〇一年間で得た物…宇佐に来る前と今で自分自身が変わったなと感じる部分がありますか?
疾患の種類的に都市部との違いはありますが、代表的な疾患は共通していて、大学病院では統一された手技での治療を学んできました。
しかし、こちららに来て、中原院長、山崎先生、園田先生、佐藤先生…外部からも先生がこられて、それぞれ経験を積まれた先生のもとで学ぶことができ、一つのアプローチにこだわらず、いろんなやり方があると考えられるようになりました。以前より引き出しが増えて、応用がきくようになってきたと感じます。

〇嬉しかったことを聞かせて下さい。
美味しいものがたくさんあることですね。特に海の幸、白身の魚が美味しかったです。
カップラーメンの西日本味も嬉しかった。おかげでちょっと太りました。

〇苦しかった、辛かったことがありましたか?
自分の力が及ばず、患者さんの力になれなかったことが、ずっと残っています。
あとからあとから、何とかできなかったのか…という想いがこみ上げてきて、すごく落ち込みました。

〇先輩Drからの言葉で印象に残っていること
専門医試験にパスできなかったとき、「まわりが色々言っても、自分なりのやり方でやらないと、納得できないよ」と声をかけてもらったことですね。
うまくいかないと、つい迷いがでますが、信念をもってやり通すことが大事なんだと、気持ちが引き締まりました。

〇お休みの日は何をされていましたか?
本当に、魅力あるところがたくさんあったんですが、道の駅巡りをよくしましたね。
そこで「めじろん」が好きになりました。

 

〇縁があれば、また宇佐に来たいと思われますか?
是非来たいです。専門医に合格したら必ず報告に伺います。

武石医師は、3月末を以て当院から異動となります。赴任してから1年間と短い期間であったものの、都市部の診療と異なる地域医療につい見識を深め、先輩医師からもたくさんの学びを得たようです。当院での研鑽を糧に、今後の目標に向かって一心不乱に精進を重ねていって欲しいと思います。
武石医師の在任中、関わって頂いた患者さん、ご家族、また地域の先生方、関係機関の皆様に心から感謝申し上げます。