先日、大分大学医学部付属病院 腎泌尿器外科より 安藤 忠助先生を講師にお招きして「移植研修」を開催しました。
テーマは「腎移植の状況と大分県の移植の状況」、「当院での移植の状況」です。
安藤先生の講演はとても分かりやすく、大分県での現状も良く理解できました。
しかし私個人としては、今まで臓器移植について考えることがとても苦手でした。
これまでの人生で、臓器移植が必要な方に関わることがなかった私は、「臓器移植」といわれると、自分や身近な人がドナーになる事の方が現実的で、特に子育て世代の自分にとっては、子供がドナーになること、つまり「子供の死」を想像させる事でした。
今年度より院内移植コーディネーターの役割をいただいた時も、手術室看護師としてのコーディネーターの役割についてだけ考えてきました。
7月に院内移植コーディネーターとしての研修を受け、そして今回院内でも研修を受けたことで、国内での移植事情や、元々健康だった方が突然臓器移植を待つ立場になる事など、今まであまり知らなかった事を沢山学ぶことができました。
しかし、まだ私の中には、自分自身で認めたくない思いがありました。一緒に院内研修を受けた同僚と、「移植についてどう思う?」と話したところ、同じ思いであることがわかりました。
「すばらしい事だと思うけど、そんなつもりじゃないと思うけど、ほんの一瞬でも、自分の大切な人の死を待っている人がいると思ってしまう」「自分の大切な人は亡くなってしまうのに、その臓器を受け取る人はその先の人生があると思うと辛い」
これは私たちの本当に素直な思いです。今回、研修後にこのコメントについて考えるときも、子供の事を考えて涙がとまりませんでした。
でもある時、「臓器移植を待っている方やその家族は、毎日こんな思いをしながら過ごしているんだな」と気づきました。また、「亡くなる事実が変わらないのなら、ドナーになれば、体の一部でも誰かと一緒にこの先の人生を歩む事ができる。ドナーになる事は、体の一部だけでもこの先の人生を歩めるという選択ができる最後のチャンスなのかもしれない」と思う様になりました。
日本は海外に比べると臓器移植の件数はとても少ない状況です。
臓器移植は移植を受ける・受けない、臓器提供をする・しない、どの意見も尊重されます。医療従事者だからといって、どんな思いを持っていても自由です。ただ、「臓器を提供したい」という方の思いを繋ぐためには、臓器提供施設の職員である私たちが、もっと臓器移植について知っておくべきではないかと思います。
院内移植コーディネーターとして、自分が何をすべきか、自分に何ができるかを考えながら、今回の研修を今後につなげていきたいと思います。
手術室・内視鏡 看護スタッフ