2023年度 佐藤第一病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
  8. 医療の質指標

年齢階級別退院患者数

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 22 31 50 157 426 494 226

 令和5年4月1日から令和6年3月31日までに、当院の一般病棟を退院された患者さんの人数を、10歳刻みの年齢階級別に集計しています。年齢は入院時の満年齢です。90歳以上は1つの階級としています。

【解説】
 症例数が10症例以下は、患者さんが特定され得るため表示していません。
 当院の入院患者さんは、60歳以上の占める割合が全体の92%、70歳以上が81%、80歳以上が51%と、入院患者さんは比較的高齢の患者さんが多くを占めています。


診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 

診断群分類:病名と治療内容等の組み合わせにより患者さんを分類するものです。
DPCコード:診断群分類を表すコードです。DPCコードの決定に当たっては、主治医が「1入院当たり医療資源を最も投入した傷病名」に基づき、1つだけ選択することになっています。

【解説】
 内科で最も多い疾患は「誤嚥性肺炎」、続いて「腎臓または尿路の感染症」、「胆管(肝内外)結石、胆管炎」、「前庭機能障害(めまい)」、「廃用症候群(筋萎縮)」が上位5位となっています。


「誤嚥性肺炎」
 食事時の誤嚥(飲食物や唾液、逆流した胃液が気管に入ってしまうこと)によって引き起こされる肺炎です。
喉の奥は、空気を肺に送る“気管”と、飲食物などを胃に送る“食道”の2つの道に分かれていて、食べ物や水、唾液を飲み込むと脳が指令を出して気管の入り口を塞ぎ、食道に流れて胃に送られるようになっています。しかし、加齢などで飲み込む機能が弱くなると、飲食物や唾液、胃液などが気管に入ってしまうことがあります。これを誤嚥といい、誤嚥したものと一緒に細菌が肺に入って炎症が起こったものが誤嚥性肺炎です。特に高齢の方に多く、高齢の肺炎患者さんのうち7割以上が誤嚥による誤嚥性肺炎とされています。肺炎は日本人の病気による死者数の上位を占める病気で、死亡率が高いことから、誤嚥性肺炎を起こさないよう、また悪化を防ぐために早めの対策が必要です。

「腎臓または尿路の感染症」

 尿路感染症とは、尿の通り道である尿道口から菌が侵入し、体内で繁殖する感染症の総称です。侵入した菌が繁殖する場所によって病名が異なり、膀胱炎、尿道炎、などがあります。膀胱炎や尿道炎など、尿道口に近い部分の尿路感染症を下部尿路感染症、腎盂腎炎などのより上部の尿路感染症を上部尿路感染症と分けることもあります。
下部尿路感染症では排尿痛、頻尿、血尿といった尿の症状が中心になりますが、上部尿路感染症では高熱、腹痛、吐き気といった症状が出ることがあります。高齢者は前立腺肥大症や神経因性膀胱等の基礎疾患により尿路感染症を起こす確率が高くなります。
 
「胆管(肝内外)結石、胆管炎(手術あり)」
 胆嚢内または胆管内で形成された結石が、胆管(総胆管)という細い管にはまり(総胆管結石)、胆汁の流れが悪くなり、炎症(急性胆管炎)が引き起こされる病態です。炎症の原因となっている結石を、胆道閉塞内視鏡による治療(内視鏡的乳頭切開術、内視鏡的胆道結石除去術、内視鏡的胆道ステント留置術 等)している症例です。

「前庭機能障害(めまい)」
 内耳には音を感じ取る「蝸牛」と、平衡を感じ取る「前庭」が左右の耳の中にあります。前庭には三半規管と球形嚢、卵形嚢という頭の回転を感じ取る部分と、水平、上下の加速を感じる部分があります。脳は主にこの左右1対の前庭からの情報を元に体のバランスをとっています。この前庭の片方が突然何らかの異常を来すと前庭からの信号が過大や過小になったりし、脳が混乱しめまいを引き起こします。

「廃用症候群(筋萎縮)」
 病気やケガの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のことをいいます。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者ではその現象が顕著に現れます。
急性期疾患治療後の廃用症候群に対して、地域包括ケア病床、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーションも提供しています。




診断群分類:病名と治療内容等の組み合わせにより患者さんを分類するものです。
DPCコード:診断群分類を表すコードです。DPCコードの決定に当たっては、主治医が「1入院当たり医療資源を最も投入した傷病名」に基づき、1つだけ選択することになっています。

【解説】
 症例数が10症例以下は、患者さんが特定され得るため表示していません。
 外科で最も多い疾患は「鼠径ヘルニア(15歳以上)(手術あり)」、続いて「胆嚢疾患(胆嚢結石など)(手術あり)」、「膿皮症(蜂窩織炎)」、「穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患(憩室炎等)」、「胆のう炎等(手術あり)」、が上位5位となっています。

「鼠径ヘルニア」
 脚の付け根(鼠径部)の腹壁のすき間や弱くなったところから腸などの内臓がはみ出すようになってしまう病気で、俗に「脱腸」とも呼ばれています。症状は全くないものから鼠径部の膨らみや違和感、痛みを伴うもの、さらには嵌頓(かんとん:はみ出した腸などをお腹の中に戻せない状態で痛みなどの症状を伴う)や絞扼(こうやく:はみ出した腸などが血行障害を起こしている状態)にいたるまでさまざまですが、いったんヘルニアの状態になると自然に治ることはなく、治療するには手術が必要となります。
嵌頓している症例は基本的に全例手術の適応で、嵌頓していない症例でも痛みや違和感などの症状がある場合は、手術の適応です。

 

「膿皮症(蜂窩織炎)」
 皮膚の傷などから細菌が侵入し、皮膚とその下にある脂肪組織などに炎症を引き起こす病気です。発症すると炎症を起こした部位が痛みや熱感を伴って赤く腫れ上がり、徐々に範囲が広がっていきます。治療には原因となる細菌を死滅させる作用を持つ抗菌薬の投与が行われ、数日から10日ほどで快復することがほとんどです。炎症が強く、皮膚の下に膿がたまっているようなケースでは、膿を排出する治療が必要になることもあります。

 

「結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍(手術あり)」
 大腸(結腸、直腸)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。
 早期の段階では自覚症状はほとんどなく、進行すると症状が出ることが多くなります。症状としては、血便(便に血が混じる)、下血(腸からの出血により赤または赤黒い便が出る、便の表面に血液が付着する)、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血、体重減少などがあります。

 

「胆のう疾患(胆のう結石など)」
 胆のうは肝臓の下面にある洋ナシ型の袋で、肝臓でつくられた胆汁を濃縮貯蓄しておく臓器です。胆のう結石は、胆のうの機能が低下し胆嚢内にコレステロールやビリルビンが結晶化したものです。症状として、右季肋部痛や右背部痛、発熱、黄疸などがみられます。
 胆のうは胆汁を濃縮貯蓄していて、食事(特に脂肪)をとると収縮し、胆管を通じて胆汁を十二指腸へ送り出します。胆石ができていると、胆のうが収縮したときに激しい痛みを伴うことがあります。また、胆のう炎を引き起こすこともあります。こちらに分類されている症例は、「胆のう炎を伴わない胆のう結石症」となります。

 

「胆のう炎」
 胆のうは肝臓の下面にある洋ナシ型の袋で、肝臓でつくられた胆汁を濃縮貯蓄しておく臓器です。胆のう結石は、胆のうの機能が低下し胆のう内にコレステロールやビリルビンが結晶化したものです。
 胆のう炎には、急性胆のう炎と慢性胆のう炎があり、どちらの症状も右上腹部の発作的な痛みを特徴とします。急性胆のう炎は慢性胆のう炎よりも痛みが強いことがあり、発熱がみられることもあります。
急性胆のう炎の多くは胆石によって胆汁の流れが滞ることによって発生し、急性胆のう炎が続くと、慢性胆のう炎となり痛みの発作を繰り返すことがあります。

 


診断群分類:病名と治療内容等の組み合わせにより患者さんを分類するものです。
DPCコード:診断群分類を表すコードです。DPCコードの決定に当たっては、主治医が「1入院当たり医療資源を最も投入した傷病名」に基づき、1つだけ選択することになっています。

【解説】
 症例数が10症例以下は、患者さんが特定され得るため表示していません。
 整形外科で最も多い疾患は「股関節・大腿近位の骨折(手術あり)」、続いて「脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎(ブロック注射あり)」、「胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)(保存的)」、「上肢末梢神経麻痺(手術あり)」、「骨盤損傷(保存的)」、が上位5位となっています。

「股関節・大腿近位の骨折」
 身体の中では足の付け根、股関節にあたる大腿骨近位部には、ボールの形をした大腿骨頭と少しくびれた大腿骨頸部と大きく張り出して筋肉の付着部となる大腿骨転子部があります。ほとんどの股関節骨折は、大腿骨頸部または大腿骨転子部(転子下)で発生します。
この骨折は60歳以上で徐々に増加し、70歳以降になると急増します。高齢者にこの骨折が多い理由は、加齢による変化で多かれ少なかれ骨が弱くなっていることに加え、身のこなしが鈍くなり転倒しやくなっているからです。年齢を重ねると屋内でつまづいたり、ベッドからずり落ちたりなどの小さな外力で骨折します。
治りにくい骨折の代表格で、ギプスやベッド安静だけでは治るのに長い時間がかかり、高齢者ではその間に立ち座りのみならず、痛みのために自由に身体が動かせずに寝たきりになり、床ずれを作ったり肺炎を起こしたりして、骨折が原因で徐々に弱っていきます。
大腿骨骨折を発症すると、寝たきりになるリスクがあるため、基本的には早期に手術を行い、リハビリテーションを行うことが重要です。
 当院では、急性期治療(手術、保存的)と平行して集中的なリハビリテーションを実施しており、急性期治療が終了し更なる回復を目指して、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーションも提供しています。

「脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎」
 背骨には、脊柱管と呼ばれるトンネル状の構造があり、その中を脳から続く神経の束が通っています。この脊柱管がさまざまな原因によって狭くなることを脊柱管狭窄症と呼び、脊柱管の中を通る脊髄や神経が圧迫されると手や脚の痛み、しびれ、歩行障害、排尿障害などの症状を引き起こします。脊柱管狭窄症の主要な原因の一つとして加齢による骨や靱帯の変性があり、悪化すると日常生活に支障が出てくるため、高齢者の生活の質に大きく影響する病気と考えられています。
 当院では、急性期治療(手術、保存的)と平行して集中的なリハビリテーションを実施しており、急性期治療が終了し更なる回復を目指して、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーションも提供しています。

「胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)(脊椎圧迫骨折)」
 脊椎圧迫骨折は、背骨を構成する脊椎と呼ばれる骨に対して、外力が加わることを原因として発症します。脊椎圧迫骨折は、多くが骨粗しょう症を基盤として発症することが知られています。骨粗しょう症は、骨の強度が通常よりも弱くなっている状態です。そのため、しりもちをつく、転倒する、咳をするなどのちょっとした外力が骨に加わったことがきっかけで脊椎圧迫骨折が生じてしまいます。骨粗しょう症で骨が脆くなっている高齢者の方では転倒などで骨折を起こす危険性が高くなります。
 脊椎圧迫骨折を発症した際には、保存的療法、外科的固定術、BKP(バルーン椎体形成術)といった治療が患者さんの症状や骨折の程度、形態によって選択されます。どの治療方法が適切であるかどうかは、患者さんの年齢や全身状態、骨折に伴う症状などに応じて大きく異なるため、適切な治療方針を決定することが大切です。
 当院では、急性期治療(手術、保存的)と平行して集中的なリハビリテーションを実施しており、急性期治療が終了し更なる回復を目指して、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーションも提供しています。

「上肢末梢神経麻痺(手根管症候群)」
 手根管症候群とは、指先の感覚や手の運動において重要な役割をする正中神経が障害される結果、しびれや痛みなどの症状をきたす病気です。手首には手根管と呼ばれるトンネル状の形態を示す部分があり、このトンネル内には正中神経や腱などが通っています。正中神経が圧迫される原因には、手首の曲げ伸ばしを繰り返し、手首に負担のかかるような動作をすることで、手根管の中を通る腱を覆う膜などが炎症を起こし腫れることがあります。手根管症候群では、手首の安静が治療方法の一環であるため生活スタイルの変更が重要になりますが、ときには手術による治療も選択される病気です。

「骨盤損傷」
 骨盤は恥骨、坐骨、腸骨、仙骨で構成され一つの輪(骨盤輪)を呈しています。骨盤骨折は、骨盤部に外から力が加わることによって骨盤の連続性が断たれてしまうか、あるいは股関節部の骨が折れてしまう状態のことです。原因としては、交通事故や転落、転倒などで折れてしまうことがあります。特に高齢者は骨粗鬆症を併発していることが多いため、軽く転倒しただけで骨盤骨折を起こすことがあります。
 当院では、急性期治療(手術、保存的)と平行して集中的なリハビリテーションを実施します。

 

診断群分類:病名と治療内容等の組み合わせにより患者さんを分類するものです。
DPCコード:診断群分類を表すコードです。DPCコードの決定に当たっては、主治医が「1入院当たり医療資源を最も投入した傷病名」に基づき、1つだけ選択することになっています。

【解説】
 脳神経外科で最も多い疾患は「頭蓋・頭蓋内損傷(手術あり)」、続いて「胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)(手術あり)」、「脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、*JCS10未満 脳血管リハビリテーション実施、*発症前Rankin Scale0、1又は2)」、「脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、*JCS10未満 点滴(エダラボン)実施、*発症前Rankin Scale0、1又は2)」、「頭蓋・頭蓋内損傷(保存的)」、が上位5位となっています。
 脳神経外科では、脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)や頭部外傷(脳挫傷、外傷性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血等)、内頚動脈狭窄症、未破裂動脈瘤、脊椎疾患(圧迫骨折、脊柱管狭窄症)、てんかん等、幅広く治療を行っています。
 当院では、急性期治療と平行して集中的なリハビリテーションを実施しており、急性期治療が終了し更なる回復を目指して、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーションも提供しています。

 

「頭蓋・頭蓋内損傷(慢性硬膜下血腫)」
 慢性硬膜下血腫とは、硬膜と脳の間に血がたまる病気です。脳は硬膜と呼ばれる膜で覆われており、さらにその上から丈夫な頭蓋骨で包まれ保護されています。慢性硬膜下血腫とは比較的時間をかけてゆっくりと硬膜と脳の間に血の塊ができた状態です。
頭部の外傷(怪我など)がきっかけで発症します。非常に軽い外傷でも発症することがあります。きっかけとなった外傷から1~2か月後に、頭痛や認知症状などを起こすことがあります。
手術による血腫の除去が基本となります。局所麻酔でチューブを脳表面へと挿入して血腫を除去します。状況によっては全身麻酔を選択することもあります。
 当院では、急性期治療と平行して集中的なリハビリテーションを実施します。

 

「胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)(脊椎圧迫骨折)」
 脊椎圧迫骨折は、背骨を構成する脊椎と呼ばれる骨に対して、外力が加わることを原因として発症します。脊椎圧迫骨折は、多くが骨粗しょう症を基盤として発症することが知られています。骨粗しょう症は、骨の強度が通常よりも弱くなっている状態です。そのため、しりもちをつく、転倒する、咳をするなどのちょっとした外力が骨に加わったことがきっかけで脊椎圧迫骨折が生じてしまいます。骨粗しょう症で骨が脆くなっている高齢者の方では転倒などで骨折を起こす危険性が高くなります。
脊椎圧迫骨折を発症した際には、保存的療法、外科的固定術、BKP(バルーン椎体形成術)といった治療が患者さんの症状や骨折の程度、形態によって選択されます。どの治療方法が適切であるかどうかは、患者さんの年齢や全身状態、骨折に伴う症状などに応じて大きく異なるため、適切な治療方針を決定することが大切です。
 当院では、急性期治療(手術、保存的)と平行して集中的なリハビリテーションを実施しており、急性期治療が終了し更なる回復を目指して、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーションも提供しています。

 

「脳梗塞」
 脳梗塞とは、脳に酸素と栄養を運ぶ動脈が詰まり、脳への血液供給が途絶えてしまうことによって、意識障害や運動麻痺などが起こる病気です。治療としては、t-PA治療(血栓を強力に溶かす薬を静脈から点滴投与するもの)や血管内治療、その他薬物療法があります。
当院では、急性期治療と平行して集中的なリハビリテーションを実施しており、急性期治療が終了し更なる回復を目指して、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーションも提供しています。

*JCS:ジャパン・コーマ・スケールの略で、覚醒の程度によって分類したもので、数値が大きくなるほど意識障害が重いことを示しています。


*発症前Rankin Scale:発症前おおむね1週間のADLを病歴等から推定し、そのうえで「0」~「5」までの値で分類したものです。
 

 

診断群分類:病名と治療内容等の組み合わせにより患者さんを分類するものです。
DPCコード:診断群分類を表すコードです。DPCコードの決定に当たっては、主治医が「1入院当たり医療資源を最も投入した傷病名」に基づき、1つだけ選択することになっています。

【解説】
 神経内科で最も多い疾患は「パーキンソン病」、続いて「前庭機能障害(めまい)」、「運動ニューロン疾患等(脊髄性筋萎縮症及び関連症候群)」、「てんかん」、「「脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、*JCS10未満 点滴(エダラボン)実施、*発症前Rankin Scale0、1又は2)」」、が上位5位となっています。
 神経内科では、慢性疼痛に対する診断、投薬、リハビリ、神経ブロックなどの加療をしております。こうした治療で効果が乏しい難治性疼痛へ脊髄刺激療法をおこなっております。
 脊髄刺激療法とは、脊髄近くのスペースにリード(刺激電極)を挿入し、脊髄に微弱な電気を流すことにより、痛みを緩和させる治療です。

「パーキンソン病」

 パーキンソン病は、脳が体を動かすための指令を調節するドパミンと呼ばれる物質が減ることによって起こります。
ドパミンは脳の黒質と呼ばれる部位にある「ドパミン神経細胞」で作られ、大脳皮質からの指令を調節し、筋肉の動きをスムーズにするはたらきをもっています。ドパミン神経細胞は健康な人でも加齢とともにある程度自然に減少し、体が動かしにくくなる原因になっていますが、パーキンソン病の患者さんでは減少のスピードが速いことが分かっています。
ドパミン神経細胞がなぜ減少するかについて、正確な理由は分かっていません。

 

「前庭機能障害(めまい)」

 内耳には音を感じ取る「蝸牛」と、平衡を感じ取る「前庭」が左右の耳の中にあります。前庭には三半規管と球形嚢、卵形嚢という頭の回転を感じ取る部分と、水平、上下の加速を感じる部分があります。脳は主にこの左右1対の前庭からの情報を元に体のバランスをとっています。この前庭の片方が突然何らかの異常を来すと前庭からの信号が過大や過小になったりし、脳が混乱しめまいを引き起こします。

 

「運動ニューロン疾患等(ALS)」

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、体を動かすのに必要な筋肉が徐々にやせていき、力が弱くなって思うように動かせなくなる病気です。筋力の低下が主な症状ですが、筋萎縮性側索硬化症は筋肉の病気ではなく、筋肉を動かしている脳や脊髄(せきずい)の神経(運動ニューロン)がダメージを受けることで発症します。脳から筋肉に指令が伝わらなくなることで手足や喉、舌の筋肉や呼吸筋が徐々にやせていきます。
筋肉がやせると体を上手く動かすことができず、呼吸筋が弱まると呼吸困難に陥り人工呼吸器が必要になります。一般的に症状の進行は速く、人工呼吸器を使用しなければ発症から2~5年で死に至ることが多いといわれていますが、個人差は非常に大きく10年以上かけてゆっくり進行する場合もあります。
日本における男女比はやや男性に多い傾向にあり、中年以降に発症することがほとんどで、特に60~70歳代に多くみられます。
手足の筋力低下から始まることが一般的で、ペットボトルの蓋が開けにくい、髪を洗うときに腕を挙げにくいなどの症状がみられ、足の筋力が低下すると階段の昇り降りが難しくなったり、椅子から立ち上がりにくくなったりします。
喉や舌の筋肉が上手く動かなくなると、喋りにくくなり、水や食べ物も上手く飲み込めなくなります。よだれや痰が増えることもあるほか、嚥下障害によって肺炎を起こす場合もあります。嚥下障害が進行した場合には、胃に管を通して栄養を直接注入する「胃ろう」、鼻から管を入れて流動食を補給する「経鼻胃管」、点滴で栄養補給をするなどの処置が検討されます。
呼吸をするのに必要な呼吸筋は脳からの指令によって動いているため、指令が伝わらなくなると筋肉が弱まり十分に呼吸ができなくなります。
筋萎縮性側索硬化症は進行性の病気であるため、症状が軽くなることはありません。徐々に症状が重くなっていき、いずれ呼吸不全となって人工呼吸器が必要になります。その一方で、進行しても視力や聴力、内臓機能、体の感覚などほかの機能に異常をきたすことは通常ありません。
現在のところ、筋萎縮性側索硬化症を根本的に治す薬はなく、筋萎縮性側索硬化症の進行を遅らせる効果が期待できる薬が投与されます。

 

「てんかん」

 てんかんとは、脳が一時的に過剰に興奮することで、意識消失やけいれんなどのてんかん発作を繰り返し引き起こす病気です。
頭部外傷、脳出血や脳梗塞、脳腫瘍、皮質形成異常といった脳の構造的な異常や脳炎などの感染、免疫の異常、または代謝の異常が原因であると考えられている「症候性てんかん」が当院の主な症例です。抗けいれん薬を用いて薬物療法を行います。

 

「脳梗塞」

 脳梗塞とは、脳に酸素と栄養を運ぶ動脈が詰まり、脳への血液供給が途絶えてしまうことによって、意識障害や運動麻痺などが起こる病気です。治療としては、t-PA治療(血栓を強力に溶かす薬を静脈から点滴投与するもの)や血管内治療、その他薬物療法があります。
当院では、急性期治療と平行して集中的なリハビリテーションを実施しており、急性期治療が終了し更なる回復を目指して、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーションも提供しています。

 


診断群分類:病名と治療内容等の組み合わせにより患者さんを分類するものです。
DPCコード:診断群分類を表すコードです。DPCコードの決定に当たっては、主治医が「1入院当たり医療資源を最も投入した傷病名」に基づき、1つだけ選択することになっています。

【解説】
 症例数が10症例以下は、患者さんが特定され得るため表示していません。

 呼吸器内科で最も多い症例は「間質性肺炎」、続いて「誤嚥性肺炎」、「腎臓または尿路の感染症」、「肺の悪性腫瘍」、「肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上)(A-DROP スコア2)」、が上位5位となっています。

*市中肺炎:日常生活を送っている中で罹患した肺炎。
*A-DROPスコア:4)成人市中肺炎の重症度別患者数等の項参照

 

「間質性肺炎」
 間質性肺疾患(間質性肺炎)とは、肺の間質と呼ばれる部分を中心に炎症が起こる病気の総称です。肺は肺胞という小さな袋の集まりで、口や鼻から吸い込んだ空気は気道を通って肺胞に運ばれ、肺胞の壁を通して酸素が取り込まれます。肺胞は大きく実質と間質に分けられ、肺胞の中を実質、肺胞の壁や周囲の組織を間質といい、この間質に炎症が起こる病気が間質性肺炎です。
間質性肺炎では、炎症によって徐々に肺胞壁が厚く硬くなります(線維化)。そうなると肺がうまく膨らまなくなるため、息苦しさを感じたり咳が出たりします。進行すると呼吸不全になることもあります。
間質性肺炎は、原因が特定できるものと原因が特定できないものに大きく分けられ、原因が特定できるものとして自己免疫性間質性肺炎、職業環境性間質性肺炎、医原性間質性肺炎などがあります。
一方、原因が特定できないものを特発性間質性肺炎といい、全体の半数以上を占めます。特発性間質性肺炎は病態に応じてさらに細かく分類され、特発性肺線維症、特発性非特異性間質性肺炎、特発性器質化肺炎、急性間質性肺炎、剥離性間質性肺炎など、さまざまな種類があります。原因を分かりやすく分類すると、免疫異常によるもの(自己免疫性間質性肺炎)、異物の吸入によるもの(職業環境性間質性肺炎)、薬や放射線治療によるもの(医原性間質性肺炎)、感染症によるもの、原因を特定できないもの(特発性間質性肺炎)の5つに大きく分けられます。


「誤嚥性肺炎」
 食事時の誤嚥(飲食物や唾液、逆流した胃液が気管に入ってしまうこと)によって引き起こされる肺炎です。
喉の奥は、空気を肺に送る“気管”と、飲食物などを胃に送る“食道”の2つの道に分かれていて、食べ物や水、唾液を飲み込むと脳が指令を出して気管の入り口を塞ぎ、食道に流れて胃に送られるようになっています。
しかし、加齢などで飲み込む機能が弱くなると、飲食物や唾液、胃液などが気管に入ってしまうことがあります。これを誤嚥といい、誤嚥したものと一緒に細菌が肺に入って炎症が起こったものが誤嚥性肺炎です。
特に高齢の方に多く、高齢の肺炎患者さんのうち7割以上が誤嚥による誤嚥性肺炎とされています。肺炎は日本人の病気による死者数の上位を占める病気で、死亡率が高いことから、誤嚥性肺炎を起こさないよう、また悪化を防ぐために早めの対策が必要です。
 嚥下障害が進行した場合には、胃に管を通して栄養を直接注入する「胃ろう」、鼻から管を入れて流動食を補給する「経鼻胃管」、点滴で栄養補給をするなどの処置が検討されます。

 

「腎臓または尿路の感染症」

 尿路感染症とは、尿の通り道である尿道口から菌が侵入し、体内で繁殖する感染症の総称です。侵入した菌が繁殖する場所によって病名が異なり、膀胱炎、尿道炎、などがあります。膀胱炎や尿道炎など、尿道口に近い部分の尿路感染症を下部尿路感染症、腎盂腎炎などのより上部の尿路感染症を上部尿路感染症と分けることもあります。
下部尿路感染症では排尿痛、頻尿、血尿といった尿の症状が中心になりますが、上部尿路感染症では高熱、腹痛、吐き気といった症状が出ることがあります。高齢者は前立腺肥大症や神経因性膀胱等の基礎疾患により尿路感染症を起こす確率が高くなります。

 

「肺の悪性腫瘍」
 肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。進行すると、がん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れにのって転移することもあります。転移しやすい場所はリンパ節、反対側の肺、骨、脳、肝臓、副腎です。「この症状があれば必ず肺がん」という症状はありません。症状がないうちに進行していることもあります。咳や痰、痰に血が混じる、発熱、息苦しさ、動悸、胸痛などがあげられますが、いずれも肺がん以外の呼吸器の病気にもみられる症状です。複数の症状がみられたり、長引いたりして気になった場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

 「肺炎等」
  細菌性肺炎や気管支炎が分類されます。細菌性肺炎とは、細菌が原因となって発症する肺炎を指します。比較的ありふれた疾患であり、日常生活を送るなかで誰でも発症するリスクがある病気です。
  細菌性肺炎、誤嚥性肺炎は日本においては、がん、心臓病、老衰、脳血管疾患、に次いで第5位、第6位の死因(令和2年人口動態統計より)として挙げられています。
  呼吸器内科で入院される患者さんは、呼吸器系の慢性疾患が既往にある患者さんが多いため、外来主治医が入院後も主治医として全身管理を行い治療しています。

 

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

  Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明 再発 病期分類
基準(※)
版数
胃癌 1 7,8
大腸癌 1 7,8
乳癌
肺癌 1 7,8
肝癌 1 7

 症例数が10症例以下は、患者さんが特定され得るため表示していません。
 5大がんと呼ばれる胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がんの患者さんの数を、*初発および*再発に別けて*UICC病期分類別に集計しています。Stageが「0」のものは集計対象外です。

【解説】
 当院では内視鏡検査、エコー検査、マンモグラフィー検査等を積極的に行い、早期発見で治療に繋げ、病変に応じて、内視鏡的治療、外科手術、化学療法等の治療選択を行っています。

*「病期分類基準」:国際対がん連合(UICC)により定められた、「原発腫瘍の拡がり(T)」「所属リンパ節転移の有無と拡がり(N)」「遠隔転移の有無(M)」によって、がんをStageⅠ~StageⅣに分類するものです。
*「初発」:当院において、当該腫瘍の診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合を指します。
*「再発」:当院・他院を問わずに初回治療が完了した後、当院にて患者さんを診療した場合や、治療がん寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合を指します。

 

成人市中肺炎の重症度別患者数等

  患者数 平均在院日数 平均年齢
軽症
中等症 50 19.38 83.2
重症 10 26 86.2
超重症
不明

 症例数が10症例以下は、患者さんが特定され得るため表示していません。
 重症度分類は、日本呼吸器学会、*成人市中肺炎診療ガイドラインの「*A-DROP」スコアを用いて集計しています。ウイルスによる肺炎や、食べ物の誤嚥による肺炎、気管支炎は集計の対象外です。

【解説】
 当院では中等症の患者さんが最も多く、平均年齢86.52歳、平均在院日数30.45日です。当院では、急性期治療と平行して呼吸器リハビリテーションを実施しております。

 
*市中肺炎:日常生活を送っている中で罹患した肺炎。
*A-DROP

 Age(年齢)  男性70歳以上、女性75歳以上
 Dehydration(脱水)  BUN 21mg/dL以上または脱水あり
 Respiration(呼吸)  SpO2<90%(PaO2 60Torr 以下)
 Orientation(意識障害)  意識障害あり
 Pressure(収縮期血圧)  収縮期血圧90mmHg以下

※5点満点で、1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点。
軽症:0点の場合
中等症:1~2点の場合
重症:3点の場合
超重症:4~5点の場合。ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする。
不明:重症度分類の各因子が1つでも不明な場合。

 

脳梗塞の患者数等

ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
I63$ 脳梗塞 3日以内 103 44.71 78.44 12.88
I63$ 脳梗塞 その他 29 42.17 82 1.52

医療資源を最も投入した疾病の*ICD10が脳梗塞の症例を集計しています。

【解説】
 脳梗塞の患者数は、発症日から3日以内の症例が103例(平均年齢78.44歳)、それ以外の症例が29例(平均年齢82歳)となっています。当院では8割以上の患者さんが、発症から3日以内に来院され治療を開始しています。急性期治療が終了し更なる回復を目指して、院内の回復期リハビリテーション病棟で継続したリハビリテーションもおこなっているため、転院率は低いです。
 脳梗塞は高齢化の進展とともに年々発症率は増加傾向にあり、特に心臓由来の脳梗塞である心原性脳塞栓症が増えてきています。加齢とともに心臓の機能が低下し、心疾患が増えてきていることが主因です。他にも糖尿病や高脂血症は脳卒中の原因となる動脈硬化が起きる病気であるため、適切な治療と生活習慣病の改善が重要です。
 脳梗塞の治療は、梗塞巣が広がり悪化しないように点滴治療を行います。また、脳梗塞によって失われた体の機能を回復するために、超早期(可能であれば発症当日)からのリハビリテーションを開始していきます。

*ICD10
 International Classijication of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類-10版)の略称。異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類です。最新の分類は、ICDの第10回目の改訂版として、1990年の第43回世界保健総会において採択されたものであり、ICD-10(1990年版)と呼ばれています。
 現在、我が国では、その後のWHOによるICD-10のままの改正の勧告であるICD-10(2003年版)に準拠した「疾病、傷害及び死因の統計分類」を作成し、統計法に基づく統計調査に使用されるほか、医学的分類として医療機関における診療録の管理等に活用されています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)



入院中に複数の手術を施行していても、主たる手術のみでカウントしています。

【解説】
 症例数が10症例以下は、患者さんが特定され得るため表示していません。
 内科では、大腸ポリープに対する内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術、経口摂取困難な患者さんに対して胃瘻造設術、胆管結石・胆管炎等に対して内視鏡的胆道ステント留置術や内視鏡的胆道結石除去術、内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術)<胃>、が上位5位となっています。
 他にも、当院内視鏡センターでは内視鏡を用いた治療を幅広く実施しています。

入院中に複数の手術を施行していても、主たる手術のみでカウントしています。

【解説】
 症例数が10症例以下は、患者さんが特定され得るため表示していません。
 外科では、胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術、鼡径ヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア手術、大腸がんに対する開腹による結腸切除術、腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術、胃がんに対する胃切除術、が上位5位となっています。

 
 


入院中に複数の手術を施行していても、主たる手術のみでカウントしています。

【解説】
 整形外科では、大腿骨骨折に対する骨折観血的手術、大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭挿入術、手根管症候群に対する関節鏡下手根管開放手術、下腿の骨折に対する観血的手術、半月板損傷に対する関節鏡下半月板切除術、が上位5位となっています。



入院中に複数の手術を施行していても、主たる手術のみでカウントしています。

【解説】
 症例数が10症例以下は、患者さんが特定され得るため表示していません。 
 脳神経外科では、圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術、慢性硬膜下血腫に対する慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術、水頭症に対するLPシャント術、経口摂取困難な患者さんに対して胃瘻造設術、脳動脈瘤(破裂、未破裂)に対する脳動脈瘤頚部クリッピング(開頭)、が上位5位となっています。

 



その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一
異なる
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一
異なる

 入院の契機となった傷病名と医療資源を最も投入した傷病名(播種性血管内凝固症候群、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症)の同一性の有無を集計し、「同一」か「異なる」かの内訳を示しています。

【解説】
 症例数が10症例以下は、患者さんが特定され得るため表示していません。
 手術や処置、検査等を行う際には、合併症を起こさないように細心の注意を払い実施しています。起こり得る合併症については、事前に説明した上で、同意をいただくよう努めています。

 

医療の質指標

1)リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞症の予防対策の実施率

肺血栓塞栓症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、
肺血栓塞栓症の予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の
手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率(%)
157 156 99.36

 肺血栓塞栓症とは、血液のかたまり(血栓)等が、血液の流れに乗って肺の動脈に運ばれ血管が詰まってしまう病気です。
肺動脈が詰まると、酸素を取り込めなくなったり、心臓から血液を押し出せなくなり、突然死の原因になることもあります。
手術は長い時間ベッド状で横になり、同じ体制をとるため血流が悪くなり血液のかたまり(血栓)ができやすくなります。当院はリスクレベルが「中」以上の手術を施行したほぼ全症例に対して、予防対策を実施しております。

 

2)血液培養2セット実施率

血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に2件以上ある日数(分子) 血液培養2セット実施率(%)
130 79 60.77

 血液培養は1セットのみの場合の疑陽性による過剰治療を防ぐため、2セット以上行うことが推奨されています。本指標は、血液培養を行う際に2セット以上の検査が実施された割合を示しています。
 
 
3)広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、
入院日以降抗菌薬処方日までの間に細菌培養同定検査が実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率(%)
125 75 60
 不適切な抗菌薬の使用は、耐性菌の発生や蔓延の原因になることから、抗菌薬適正使用を推進する取り組みが求められます。抗菌薬適正使用のために正確な微生物学的診断が必要であり、抗菌薬投与前の適切な検体採取と培養検査が必要です。
 
 
更新履歴

 

2024/09/30